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多趣味が趣味♪

読んだり☆観たり☆感じたり☆
皆川博子『クロコダイル路地』

皆川博子『クロコダイル路地』機Ν

講談社 2016年4月19日発行

 

1789年7月14日、民衆がバスティーユ監獄を襲撃。パリで起きた争乱は、瞬く間にフランス全土へ広がった。帯剣貴族の嫡男フランソワとその従者ピエール、大ブルジョアのテンプル家嫡男ローラン、港湾労働と日雇いで食いつなぐ平民のジャン=マリと妹コレット。“革命”によって変転していくそれぞれの運命とは。小説の女王が描く壮大な叙事詩的物語と、仕組まれた巧妙な仕掛け。革命期の貿易都市ナントから始まるフランス篇。(「BOOK」データベースより)

 

 

革命に揺れるフランスを、労働者・王党派の貴族・ブルジョアという、三方から視線を変えて描いていますが、どこから見ても悲惨な光景。

一体誰が、誰のために起こした革命なんだろうか・・・と思ってしまいます。

革命後の恐怖政治は有名ですが、ここまでだったのかと愕然としました。

 

国の成り立ちの根本が崩れてしまうのって、本当に大変なことなんでしょうね。

何が悪で、何が罪なのか。

それが全くわからなくなってしまう・・・。

裁きを下すのは誰なのか。神は信じられるのか。

 

それでも日々を懸命に生きるジャン=マリの素朴さには救われたな・・・。

後半のイギリス編でも、メイの小さなことに喜ぶ様子に涙が出そうになりました。

 

そして後半には『開かせていただき光栄です』のときの登場人物たちも出てきました。

もう一回読み返したくなってしまったわ。

 

見てきたかのように描く皆川先生の緻密さは変わらず。

読み応え十分な前後編です!

 

オススメ度『クロコダイル路地』★★★★☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 14:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『アルモニカ・ディアボリカ』
皆川博子『アルモニカ・ディアボリカ』
早川書房 2013年12月20日発行

18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。ある日、正体不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。屍体の胸には“ベツレヘムの子よ、よみがえれ!アルモニカ・ディアボリカ”と謎の暗号が。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。『開かせていただき光栄です』続篇!
(「BOOK」データベースより)
 

『開かせていただき光栄です』のざっくりした話は覚えていたんですが、詳しいところを全然覚えていなくて「はて?」と思いながら読み出したんですが…めちゃ引き込まれました〜!

皆川先生の伏線の張り方にいつもシビレるよ!!!
歴史ロマンも大好きだけど、ミステリーにも唸らされる。
最後、あざやかに伏線が回収されていく様にドキドキするんですよね。
「あ〜〜〜〜ここ繋がってたんだぁ!!!」って読みながらテンション上がっちゃいます。

ミステリーなんだけど、
人間模様、心理描写も綿密です。

みずみずしさと闇を併せ持つ物語にどっぷり浸かっていただきたい。

オススメ度『アルモニカ・ディアボリカ』★★★★☆

【ブログ内関連記事】
皆川博子『開かせていただき光栄です』

【2014,7,1追記】拍手からコメント下さった方へ
>き*さん
お〜!皆川先生の作品、お読みになるんですね!
あの大風呂敷を広げてからの、収束技術が素晴らしくていつも楽しませて頂いています!!

私はたまたま『伯林蝋人形館』を読んで、
後半になってから目の前が開けるように繋がってくる皆川作品にハマったんですよね〜。
もちろん『死の泉』も読みましたよ♪
第一次から第二次大戦あたりのヨーロッパに興味を持ったのも、
皆川先生の影響です。

最近では宝塚もときどき扱っている禁酒法時代やヴァレンチノも出てくる『双頭のバビロン』も面白かったですね!

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 16:59 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『少年十字軍』

皆川博子『少年十字軍』
ポプラ社 2013年3月6日発行

13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻むー。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。
(「BOOK」データベースより)


続きが気になって一気読み。2日で読了。面白かったです。

児童書の印象が強いポプラ社だけあって、
分厚いけれど、文字は若干大きめで、情景描写がいつもの皆川先生よりは少ない。
対象年齢は中学生以上くらいかもしれない。
それでも、時代背景がしっかりしているので、薄っぺらな印象は全然しませんでした。

キリスト教会がすごい力を持っていたことをつくづくと感じましたね。
現実の世界が辛いからこそ、死後の救いにすがったのかなぁ。
聖地巡礼って今でもあるし、特別な事なんだろうな。

「罪を許される」
とかって、日本人にはあんまりない感覚ですよね。
「悪いことするとバチがあたるよ」
とは言われるけど。

三人称で進むところと、
記憶と痛覚をなくした男の一人称で進むところがあって、
なかなかの意味深ぶりがさすがの皆川ワールドでした。
しかも、青い蝶から変身する悪魔が彼だけに見える…。

幻影的な表現と、ミステリー。

ただ、折角の魅力的な登場人物たちが全部書ききれてないかなぁという印象。
もっとページ数があれば、エピソード盛り込めたのかしら?

記憶喪失の男の過去もサラッとしてるし、
助修士のドミニクが、同じ助修士のジャコブをなんであんなに大切に思ってるのかが、全然書かれてないんですけど…。
彼らのバックボーンがもっと知りたいよぉ!!

それでも十分に、十字軍への興味を掻き立てられました。

オススメ度『少年十字軍』★★★★☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 20:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『双頭のバビロン』

皆川博子『双頭のバビロン』
東京創元社 2012年4月25日発行

爛熟と頽廃の世紀末ウィーン。オーストリア貴族の血を引く双子は、ある秘密のため、引き離されて育てられた。ゲオルクは名家の跡取りとなって陸軍学校へ行くが、決闘騒ぎを起こし放逐されたあげく、新大陸へ渡る。一方、存在を抹消されたその半身ユリアンは、ボヘミアの「芸術家の家」で謎の少年ツヴェンゲルと共に高度な教育を受けて育つ。アメリカで映画制作に足を踏み入れ、成功に向け邁進するゲオルクの前にちらつく半身の影。廃城で静かに暮らすユリアンに庇護者から課される謎の“実験”。交錯しては離れていく二人の運命は、それぞれの戦場へと導かれてゆくー。動乱の1920年代、野心と欲望が狂奔する聖林と、鴉片と悪徳が蔓延する上海。二大魔都を舞台に繰り広げられる、壮麗な運命譚。(「BOOK」データベースより)


皆川先生の長編歴史ロマン。新刊!
「読み切った〜〜〜〜!」って満足感がいっぱい。

最初はひたすらどこでつながっていくのかわかぬまま、
膨大な文章を追っているんだけれど、
後半になるにつれ、伏線が見事に回収されていくのが面白すぎる!
読みながら「あーーーー!!」とか、「えーーーー!?」とか言ってしまう私なのでしたw

謎と幻に満ちみちた一冊です。

双子の人生に深く関わるツヴェンゲルがとっても魅力的でした。
鴉片をくゆらせている姿が目の前にチラついて。
頭が良くてすごくしっかり者なのに、時として見せる弱い姿に胸キュンしちゃうのですよ…。

時代は第一次世界大戦前後ですね。
新大陸を目指してヨーロッパから移民が渡ったり(かの有名なヴァレンチノも少し登場します)、アメリカで禁酒法が出されたり。
途中から映画が無声映画からトーキーの時代に移り変わったり。
100年も昔じゃないのに、貧民街の不潔さは目を覆いますね…。

とにかく前半はじっと耐え(笑)、後半の謎解きを楽しんでいただきたい!!
しかも最後がいいんだよなぁ、心をきゅっとつかまれる感じ…。

オススメ度『双頭のバビロン』★★★★☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 15:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『開かせていただき光栄です』

皆川博子『開かせていただき光栄です‐DILATED TO MEET YOU-』
早川書房 2011年7月15日発行

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。(「BOOK」データベースより)


面白かった〜〜〜〜。
読み出しはミステリーなの?って感じだった(むしろ少年のサクセスストーリーなの?みたいな)んですが、後半は見事に素晴らしくミステリーだった!!
後半は一気に読んだよ。
時間軸が行ったり来たりするもんで、
「くそぅ、焦らしやがる…!」と思いつつ(笑)

解剖シーンなんかもありますが、それほどグロくもなく、
むしろ思春期丸出しのネイサン少年の心理描写がリアルすぎて心が痛い。

とにかくネタバレせずに読んでほしい!

オススメ度『開かせていただき光栄です』★★★★☆

【2012,1,31追記】拍手からコメント頂いた方へ
>a***さん
花組千秋楽どうでしたかーーーーー!???
ご報告お待ちしています♪♪

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 11:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『溶ける薔薇』
皆川博子『溶ける薔薇』
三慧舎 2000年2月1日発行

おかしいわね、薔薇だけは、溶けるのよ。根が、だんだん溶けて、花も溶けて、なくなってゆくの…。日常的光景の中で浮かび上がる華麗なる狂気。現実と非現実の狭間で繰り広げられる七つの物語。(「MARC」データベースより)

溶ける薔薇 (女流ミステリー作家シリーズ (1))
溶ける薔薇 (女流ミステリー作家シリーズ (1))
皆川 博子

久しぶりに皆川さんの作品を読みました。

死者が絡む8本の作品群。
樹から落ちた兄、水族館に眠る青年、ワイヤの切れたスター・・・。

ホラーというのか、ミステリーというのか、
分類はよくわからないけれど、皆川テイスト満載の小説でした。

短編集じゃなくて、そろそろ西洋歴史ロマンが読みたいなーというのが実は希望なんですが。
『聖餐城』以来、新刊出ていないような気が・・・。
皆川先生がんばってー!

オススメ度『溶ける薔薇』★★★☆☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『ジャムの真昼』
皆川博子『ジャムの真昼』
集英社 2000年10月30日発行

一葉の写真、一枚の絵が呼びおこすひそやかな官能、秘密のかおり。
言葉と映像―甘美で危険な交歓が紡ぐ作品集。


ジャムの真昼
ジャムの真昼
皆川 博子

写真や絵を元に、ひとつの物語を紡ぐ・・・という趣向の短編集。

表紙の絵は表題作『ジャムの真昼』のイメージとなった絵。
甲冑をまとった屈強な男が胸を裂くと、中から静かな瞳をした美しい女が姿を現す・・・。
見れば見るほど、引き込まれる絵だなぁと思う。

西に向かって引き上げる敗戦の国の人々。
トラックに乗せてもらえるのは皆平等に家族で3人だけ。
母と妹と兄が乗り、僕の手には母から手渡されたジャムの入った小瓶だけが残された・・・。


ドイツが戦争に負けたとき、古くから東欧に入植していたドイツ人たちは、
何代にもわたって住んでいた土地を追われ、本国へ帰らなければならなかったそう。
西に何があるのかもわからずに歩き続ける少年たちの群れ。
そして、叔母のアトリエでジャムを舐める彼・・・。

これぞ皆川ワールドといった感じの大戦前後のヨーロッパを舞台にした作品が多かったです。
湿り気のある空気をかもし出す文章を堪能しました。

ラストに収録された『少女戴冠』だけは、
著者がニューヨークに旅したときの体験風に書かれていて、
これまた面白かったです。
半身に傷を負った少女が、自らを誇るように裸体で鏡をのぞく一枚の絵。
これがまた怖いんですが、印象的な一枚で。

どれも謎めいた雰囲気の短編集でした。

オススメ度『ジャムの真昼』★★★★☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 11:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『倒立する塔の殺人』
皆川博子『倒立する塔の殺人』
理論社 ミステリーYA! 2007年11月発行

戦時中のミッションスルール。
少女たちの間で流行った小説の回し書き。
孔雀模様のマーブル紙を使った美しい装丁のノートには、
『倒立する塔の殺人』という題名のみが記されていた。
手から手へ物語りは巡り、少女たちも想いも巡る・・・。


倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)
皆川 博子

あー面白かったー。
儚くて耽美な皆川ワールドが堪能できました。
短めの小説だし、皆川小説をお試しに読むならぜひオススメの一冊。
そして、この世界観が気に入ったら他の分厚い本もぜひ読んでほしいわ、と思います。

時代背景は戦中戦後。
舞台は都立の女学校とその近くに建つミッションスクール。
モンペを着て、限りなく水に近い雑炊をすすっているはずなのに、
皆川さんの手にかかるとそんな時代も(時代だからこそ?)美しい。

少女たちの手を巡っていく一冊のノート。
語り手たちが変わっていき、謎が見え隠れする面白さ。
そして、『倒立する塔の殺人』が入れ子になっている面白さ。
少女たちが歌う合唱曲などで日本語の美しさも楽しめ、
ミステリーにもなっているのでストーリーでも飽きさせない。
しかも、だんだん(小説の中の)現実の話なのか、
(小説の中の)小説の話なのか、がわからなくなっていくところが素敵だ。
うーん、心憎い演出に脱帽。

イラストもとっても好きです。
表紙の人物もいいんだけど、小物がイイ。
途中、鏡やピアノのイラストが出てくるんだけど、雰囲気バッチリ!
イラストレーターの方、佳嶋(かしま)さんとおっしゃるようです。
ホームページで他のイラストも見られます♪
退廃的で少々毒を含んだイラストが魅力ですねー。
(ちょっと顔色が悪いというか・笑)
画集も出ているみたいなので欲しくなっちゃいました。
そして、新しい画集もまた出るみたいですね〜。
ご活躍を期待します!

オススメ度『倒立する塔の殺人』★★★★☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 22:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『蝶』
皆川博子『蝶』
文藝春秋 2005年12月15日発行

インパール戦線から帰還した男はひそかに持ち帰った拳銃で妻と情夫を撃つ。出所後、小豆相場で成功し、氷に鎖された海にはほど近い“司祭館”に住みついた男の生活に、映画のロケ隊が闖入してきた…。現代最高の幻視者が紡ぎぎ出す瞠目の短篇世界。(「BOOK」データベースより)

蝶

皆川 博子

戦前から戦後の日本が舞台。
主従関係や男尊女卑が色濃く残る時代。
家には土間があり、風呂は火で沸かした五右衛門風呂。
漁師たちは浜で地引き網を引く・・・。
そんな文化が緻密に描かれていました。

物語は美しく、妖しく、淫猥で、哀切が漂い、退廃的。
明確なストーリーがあるわけではなく、
それは夢なのか現なのかわからない。
子どもの皮で作られたバグパイプ、幻燈で映し出された美しい奥方・・・。

そして、各短編に散りばめられた詩の数々。
半分以上理解できなかったけど、雰囲気は楽しめました。

オススメ度『蝶』★★★☆☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 10:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
皆川博子『総統の子ら』
皆川博子『総統の子ら』
集英社 2003年10月30日発行

1934年、ドイツ。
13歳のカールはヒトラー総統を拝するナチスのエリート養成機関「ナポラ」に入学をはたし、厳しい規律と訓練の続く寄宿生活の中で、エルヴィンというかけがえのない親友を得る。
そしてエルヴィンのいとこである親衛隊所属のヘルマンに強く憧れる。
選ばれし少年たちの輝かしい日々の先には、希望と夢があるはずだったが、ヨーロッパは大戦へと突入する・・・。


総統の子ら〈上〉
総統の子ら〈上〉
皆川 博子

後世に残る歴史は勝者が造ったもの・・・。
そんなことを痛感した本でした。

悪とされるドイツ・ナチス政権。
しかし純粋にヒトラーを信じ、突き進み、戦い抜いた少年たち。
もちろんユダヤ人虐殺や他国への侵略など、ドイツが犯した罪は大きい。
でも、ヨーロッパの人々がこんなにもユダヤ人を嫌っていなかったら、
虐殺していることは知らずとも、強制的に撤去させることには喜んでいたのだから、他国の人々も無罪とは言えないだろう。
連合軍がドイツ軍をぶち込んだ収容所だって、ナチがユダヤ人を押し込めた強制収容所の扱いとほとんど変わらない。
寒さと飢え、強制労働、暴力。
でも勝った側はあたり前の制裁を加える清らかな聖人。
同じことをしても罪に問われず、永遠に闇の中に葬られた悪。
そして、ナチが倒れた途端、「自分は実はナチには反対だった」と声をそろえて言い出した民衆たち。
そりゃ、反対だった人だっていただろうが、
結局強いものの方へ流れる大衆心理。
人間ってなんて弱いんだろう。
とにかく色んなことを考えさせられた。

さて、物語だけれど、主人公カールが徐々に大人び、どこまでも高みに上っていく姿が眩しくも痛ましかった。
一人で列車に乗ることも心細かったカールが、
近所の不良の暴力に怯えていたカールが、
いつしか戦場で頼もしく部下に命じ励ます戦車長になった。
「部下の行為には私が全責任を負う」
そこまで言い切る立派な軍人になって。
逆に栄光に包まれていたはずのヘルマンは堕ちて行く・・・?

2人の対比が描かれていて、とても面白かった。
カールとエルヴィンの憧れの人であるへルマンの心の揺れは、
実は普通の人で共感というか・・・ああ、そうだよねと思える。
人間はそんなキレイには生きられないものだと。
逆にそんなにも残虐にもなれないのだと。

血と汗と糞尿の臭い満ちた戦場は本当に凄惨でした。
しかも想像では決して書けないだろう戦車の戦闘風景。
どんだけ取材したのでしょうね。
重い重い文章でした。
かなり長いので(写真は文庫ですが、私はハードカバーで読みました。段組み全621ページ!)読むのは2週間くらいかかってしまいましたが。

『死の泉』『薔薇密室』と同じ頃のお話。
実は繫がってる・・・?と思ったところがいくつか。
確信はありませんが・・・。
三冊並べて読んだらつながるかも!(←無理だけど・笑)

オススメ度『総統の子ら』★★★★☆

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| 小説・エッセイ(皆川博子) | 21:01 | comments(2) | trackbacks(1) | - | - |
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