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皆川博子『総統の子ら』
皆川博子『総統の子ら』
集英社 2003年10月30日発行

1934年、ドイツ。
13歳のカールはヒトラー総統を拝するナチスのエリート養成機関「ナポラ」に入学をはたし、厳しい規律と訓練の続く寄宿生活の中で、エルヴィンというかけがえのない親友を得る。
そしてエルヴィンのいとこである親衛隊所属のヘルマンに強く憧れる。
選ばれし少年たちの輝かしい日々の先には、希望と夢があるはずだったが、ヨーロッパは大戦へと突入する・・・。


総統の子ら〈上〉
総統の子ら〈上〉
皆川 博子

後世に残る歴史は勝者が造ったもの・・・。
そんなことを痛感した本でした。

悪とされるドイツ・ナチス政権。
しかし純粋にヒトラーを信じ、突き進み、戦い抜いた少年たち。
もちろんユダヤ人虐殺や他国への侵略など、ドイツが犯した罪は大きい。
でも、ヨーロッパの人々がこんなにもユダヤ人を嫌っていなかったら、
虐殺していることは知らずとも、強制的に撤去させることには喜んでいたのだから、他国の人々も無罪とは言えないだろう。
連合軍がドイツ軍をぶち込んだ収容所だって、ナチがユダヤ人を押し込めた強制収容所の扱いとほとんど変わらない。
寒さと飢え、強制労働、暴力。
でも勝った側はあたり前の制裁を加える清らかな聖人。
同じことをしても罪に問われず、永遠に闇の中に葬られた悪。
そして、ナチが倒れた途端、「自分は実はナチには反対だった」と声をそろえて言い出した民衆たち。
そりゃ、反対だった人だっていただろうが、
結局強いものの方へ流れる大衆心理。
人間ってなんて弱いんだろう。
とにかく色んなことを考えさせられた。

さて、物語だけれど、主人公カールが徐々に大人び、どこまでも高みに上っていく姿が眩しくも痛ましかった。
一人で列車に乗ることも心細かったカールが、
近所の不良の暴力に怯えていたカールが、
いつしか戦場で頼もしく部下に命じ励ます戦車長になった。
「部下の行為には私が全責任を負う」
そこまで言い切る立派な軍人になって。
逆に栄光に包まれていたはずのヘルマンは堕ちて行く・・・?

2人の対比が描かれていて、とても面白かった。
カールとエルヴィンの憧れの人であるへルマンの心の揺れは、
実は普通の人で共感というか・・・ああ、そうだよねと思える。
人間はそんなキレイには生きられないものだと。
逆にそんなにも残虐にもなれないのだと。

血と汗と糞尿の臭い満ちた戦場は本当に凄惨でした。
しかも想像では決して書けないだろう戦車の戦闘風景。
どんだけ取材したのでしょうね。
重い重い文章でした。
かなり長いので(写真は文庫ですが、私はハードカバーで読みました。段組み全621ページ!)読むのは2週間くらいかかってしまいましたが。

『死の泉』『薔薇密室』と同じ頃のお話。
実は繫がってる・・・?と思ったところがいくつか。
確信はありませんが・・・。
三冊並べて読んだらつながるかも!(←無理だけど・笑)

オススメ度『総統の子ら』★★★★☆

web拍手 by FC2

| 小説・エッセイ(皆川博子) | 21:01 | comments(2) | trackbacks(1) | - | - |
はじめまして。「総統の子ら」、つい最近読み終えまして、TBさせて頂きました。落ちていくヘルマンと、昇りゆくカールという対比に、気が付きませんでしたが改めて考えるとそうだなあと思います。カールの成長ぷりには惚れ惚れしましたね。しかしヘルマンもキリスト教に目覚め(?)、脱走した後からはまた少し上向いた感じがします。
| 落ち武者@天国 | 2008/08/02 4:08 PM |

>落ち武者@天国さん
はじめまして。
とっても考えさせられる小説でしたよね。
ブログの感想も読ませていただきました。
絶対悪とされていたナチス側にも、
自分たちは正しいと信じて戦っていた末端の人間がいたことに気づかされました。
| tomekiti | 2008/08/02 10:43 PM |










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総統の子ら
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| 読み積む日日 | 2008/08/02 3:34 PM |
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